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ヒプノセラピー(催眠療法)前世療法は東京都のホリスティック・ヒプノラボ|亀有駅徒歩6分|千葉・埼玉からも通える葛飾区・常磐線|体験セミナー・養成スクール開講中

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40代 女性の体験記

前世が知りたかった。昔から。
1年ほど前に、占い師(霊能者?)から「江戸時代の呉服屋の女将さん。 能が大好きで、能面と鼓を持ってあなたの後ろに立っています」と言われた。

でも、自分で見たわけではないから、確信が持てない。

たまたま町田先生の前世療法を知り、セッションを受けてみたいと思った。
ブラジルへの約一月のステイを目前に控え、迷いがあり、不安を打ち消すためにせっぱつまって駆け込んだ。

「前世療法」という本は以前に読んだが、町田先生はその著者のところで資格をとられた方だった。 さらに体験会で「催眠」についてのしっかりとした講義を受ける事ができたので、先生には最初から信頼感を持っていた。

黒い土の上に、草履履きの素足が見える。
視線を上げると、青い縞の着物に茶色い帯。さらに上をイメージすると、目が落窪んだ老婆の顔。
呉服屋の女将にしてはみすぼらしい。
すごく嫌な気持ちになる。この人は誰だろう?
自分かしら?
わからない。

さらに先生に促されて、住んでいる家の戸口に立つと、ガラスの入った格子戸。江戸時代ではなさそう。
戸口に立っただけで、私はもう嫌な気持ちになっていた。
中に入ると狭い土間があり、黒い竃も見える。
家族が皆でご飯を食べる部屋へ行きなさいと言われて、狭い縁側を行くと、左に暗い座敷。
ここで青い着物の髯を生やした男の姿が浮かび、「Kかな」と思う。

右手は庭。御影石の沓脱ぎがあり、やつでが茂っているあたりでさらに右に折れて、狭く暗い座敷へ。
そこでは、12歳くらいの女の子と7歳くらいの男の子が、お膳の前に正座してごはんを食べていた。
母親らしき人もいるが、皆うつむいて押し黙っている。
陰気な雰囲気が嫌で嫌でたまらない。

それから重要なシーンを見るように言われる。
いつのまにか目の前に4、5歳のおかっぱ頭の少女がいる。
赤い綿入れのちゃんちゃんこを着ている。
なんとなくぼんやりと、樽のような水桶が浮かぶ。
となりにいるのは、さっきの青い着物の男。父か。
ふいに言葉が口をついて出る。
「お父さんは、私がなにかしくじってから叱ればいいのに、いつもしくじる前に「しくじるんじゃないぞ」と叱るから嫌だ」と思っている。
戸口の向うは明るい往来で、外に遊びに行きたい。
「ああ、わかった。この家が重苦しいのは、お父さんが威圧しているからだ。ぴりぴりした緊張感は、お父さんのせいなのだ」 さっき通った座敷が見える。なげしのところに墨で何やら書かれた色紙がかけられている。 畳の上に洋風の机があって、古めかしい黒いランプが置いてある。
さっきの着物の男は、白いシャツにサスペンダー、黒いズボン姿で椅子に座っている。 髪はざん切りの横分け。目の下がたるんで、さっきより老けている。 文士か、学者か。
とにかくここにいるのは嫌だと言うと、先生が少し時間を動かしましょう、と言う。

今度は左側が庭の明るい座敷。27歳くらいの女が化粧をしている。
赤っぽい花柄の着物に、銀の簪がチリチリ鳴っている。
これからお座敷に出るのだ。
急に私はおしゃべりになる。
「きれいな着物着れるし、踊りも歌も好きだから、 ここの暮らしは気楽でいい。おじさんたちはちやほやしてくれるけど、 若くてきれいな女なら誰だっていいの。私だって、あんなおじさんたち、誰も本気で好きになれないわ。 わらったりふざけたりしても、全部嘘だもの。それ考えると馬鹿馬鹿しくなるのよね。つまらないわ。 私、もうこの女の人の人生に興味ない。見たくない」

この前世に全然ピンと来ないので、 もう魂だけの存在になって、指導霊に会いに行く事にした。 会いたい。会えるのか。教えて欲しい。私はこれからどう生きればいいのか。

闇の中に、イエス・キリストの姿が浮かぶ。
先生が近づいてよく見るように言う。
あ、絵だ。キリストは絵なのだ。
ここは教会らしい。やがて隅の方に白髪の老人が立っているのが見えて来た。司祭様かな。
突然、私は声をあげて泣き始めた。
強い感情がこみ上げてくる。
全身に鳥肌が立つ。
やっとの思いで口から出た言葉は、「助けてください」

先生に、司祭のような老人に教えを乞うように言われるが、いかめしい顔で何も語らない。
心の中で「これから私はどうすればいいか、教えてください」と一生懸命訴えていると、白い十字架が差し出された。
意味わからない。
先生に促されて、意味を考える。
「愛と自己犠牲。キリストの精神かな」と言うと、十字架の後ろから白い鳩と白い花が現れた。
「なにか言葉を言ってくれるように伝えてみたら」と先生に言われて、頭の中でそうお願いすると、不明瞭に響く声がした。
はっきりと聞き取れないが、最後は「動くのだ」と言っている。
ブラジルへ行けということなのかな、と戸惑っていると、闇の中から槍が現れた。

びっくりして見ていると、槍と楯。中世風のとてもきれいな装飾が凝らしてある。 そして1冊の分厚い書物。聖書だろうか。
一生懸命意味を考える。
「闘うための槍と、自分を守る楯。これを聖書の教えに基づいて使え、ということかな」
いかめしい顔の老人は、急にサンタクロースみたいな顔になって微笑んでいる。手のひらを上に向けて、こちらに差し出している。
「こんな風に」と先生にやってみせると、
「早くその手に手のひらを重ねなさい」という先生の声。
そうするとまた、うれしくて涙が静かに流れた。
それから老人は後ろ姿になって去って行った。
よく見ると、立派な衣装を着ている。
暗赤色のびろうどのマントには、豹の毛皮の縁取りがついている。
教会も天井の高い大伽藍で、幾何学的な装飾模様で埋め尽くされた、とても美しい中世風の建物だ。
教皇さまかな。老人は権威のある人のように見えた。

私は心の底から安心感を得て、先生の誘導に従い、催眠から醒めた。

前世は私にとってあまり愉快ではなく、なにが重要なのか意味もよくわからなかったが、 帰りの電車の中でぼんやりしていたら、突然わかった。

私は青い着物を着た父を、偉い人なのだと尊敬する一方で、その厳格さが恐くて嫌だったのだ。
父に気を遣って、家族がおどおどと暮らすのもうんざりだった。
そのくせ、父に愛されたい、甘えたいとう願望も持っていたのだ。
芸者になったのは、父への反発かもしれない。

だから今生で、私はKに逆らう事が出来ず言いなりであり、そのくせ心の中には反感があり、 しかしどうしようもなく依存していて、たまにKが機嫌がよく私をかまってくれたり、 可愛がってくれたりすると、うれしくてうれしくてたまらないのだ。

そのように解釈すると、Kとの関係を冷静に見つめることができた。
私の方がその感情の渦のようなものに巻き込まれなければ、
彼とのつきあいで学ぶことは実に多い。
男女の関係を超えて助け合い、互いにそれぞれの「生きる目的」のようなものに近づくため、 支え合う同志になれる可能性もあるのかもしれないと思った。